iPhoneのバックアップを取る時に、iCloudで取るべき?iTunesで取るべき?
iCloudとiTunesでバックアップの内容は違うの?
こんな疑問はありませんか?
今回はiPhoneのバックアップを取る際に、iCloudで取れるバックアップと、iTunesで取れるバックアップの内容の違いについて解説したいと思います。
iCloudとiTunesのバックアップの違いを正しく理解するには、iCloudとiTunesのバックアップの仕組みを理解しておく必要があります。
まずはその部分から解説をしたいと思います。
なお、今回はiOS12をベースに解説をしますので、それ以前のバージョンについては多少の違いが発生することをご了承ください。
※また当記事にて解説している内容は、AppleのHPで公式に記載のある情報と、私が実機検証して確認した(独自の見解を含む)情報が混ざっています。当記事に記載している内容については動作を保証するものではなく、情報の利用について自己責任でお願いいたします。
目次
iCloudバックアップについて
まず、iCloudにバックアップされるデータは大きく3種類に分かれます。
・iCloudにサインインして設定することで、結合(連携)されるデータ
・iCloudにサインインして設定することで、バックアップされるデータ
・iCloudにサインインしているだけで、自動でバックアップされるデータ
この内容について順番に解説していきます。
ストレージサイズについて
まず最初に認識しておきたい事として、iCloudのストレージサイズについてです。
iCloud1アカウントあたりに無料で提供されているストレージサイズは5GBまでです。
ちょっとしたデータで5GBくらいはすぐにいっぱいになります。
iPhone内には、ほぼデータが入ってない、写真も非常に少ない、という方は5GBで足りる場合もあるかと思いますが、iCloudを活用するには、ほとんどの場合、ご自身のiPhone内のデータ量に合わせてiCloudの有料プランに変更する必要があります。
今回は、iCloudのストレージに十分な空きがあるという前提で解説しますので、その点ご了承くださいね。
iCloudと結合(連携)される項目
設定>Apple ID>iCloud から確認できる、以下項目が iCloud と結合(連携)されます。
結合(連携)とバックアップは違います。
結合された項目は、MacでもiPadでも、 同じApple IDを使用している別のAppleデバイスから閲覧や編集などの操作が可能 なデータであり、新しく購入したiPhoneなど、新規の端末からでも iCloudにサインインするだけでアクセスできるデータが、この結合される項目 です。
結合(連携)したい項目はオン(緑)にします。
結合(連携)が不要な項目はオフ(白)にします。
iCloudバックアップ
iCloudにサインインして設定することで、バックアップされるデータですが、
上記で解説したiCloudに結合される項目以外のアプリを、iCloudのストレージ内に特殊な方式でコピーデータとして保管しておく仕組みです。
ただし、写真だけは少し特殊な仕様になっています。
写真は、iCloud写真(iCloudフォトライブラリ)をオンにしている場合は、iCloudに結合され、iCloudバックアップには含まれないようになりますが、iCloud写真(iCloudフォトライブラリ)をオフにしている場合は、iCloudバックアップに含まれるように自動で切り替わる仕組みです。
バックアップを取りたい項目は任意でオンオフが可能です。
バックアップの設定内容はいつでも確認可能ですが、バックアップした中身を確認することはできません。
バックアップの中身って確認できるんじゃないの!?って思う方も少なくないと思いますが、バックアップの中身を確認したい場合は、初期化されたiPhoneにデータ復元する以外の確認方法はありません。
iCloudバックアップの対象項目の確認と設定方法
iPhoneの設定メニューから以下の順に進んでいきます。
設定>Apple ID>iCloud>ストレージを管理>バックアップ>iPhone(このiPhone)
この中が、バックアップされる項目一覧です。
ここは自由に設定できます。
バックアップしたい項目はオン(緑)にします。
バックアップが不要な項目はオフ(白)にします。
自動でiCloudにバックアップされる項目
iCloudにサインインしているだけで、スイッチのオンオフなどがなく、自動でバックアップされる項目がいくつかあります。
アクティビティ、電話 (発着信履歴)、ユーザ辞書などがそれに当たります。
自動とは少し違う特殊なバックアップ項目
Apple Watchのデータは、ペアリングを解除、または「Apple Watchのコンテンツと設定を消去」する時に自動でiCloudにバックアップされます。
Apple Watchもバグってしまってペアリング解除とかが出来ないとバックアップできないので、焦りますよね。
とはいえ、Apple Watchで記録しているヘルスケアやアクティビティデータは基本的にiPhoneに流れて、iPhoneからiCloudに保管されているので、Apple Watch自体のバックアップが出来なかったとしても、さほど問題ではないと思います。
Suicaは、Suicaを削除する時に、自動的にSuica情報がiCloudに保管されます。
SuicaはJR東日本のサーバとの兼ね合いもあるせいか、エラーで困った経験をした方の情報をネット上でもよく見かけます。
Suicaでトラブると、内容によっては結構厄介な目にあいます。
Suicaの処理は正しい手順を守ることが重要です。
iTunesバックアップについて
iTunesでのバックアップはiCloudよりもシンプルなので、比較的わかりやすいかと思います。
iTunesのバックアップに関しては、暗号化にチェックをつけているかいないかがポイントになります。
PCの空き容量を確認しておく
iTunesの場合、容量については、お使いのPCの許容範囲でバックアップできるので、iCloudほど気にする必要がないかもしれませんが、最近はPCについては、デスクトップ型であればさほど心配はないですが、ノート型の場合は注意が必要です。
PCの空き容量に対して、iPhoneのデータの方が大きい場合も少なくないからです。
また空き容量がギリギリの状態でiPhoneのバックアップを取った場合、バックアップデータによってHDD(SSD)が埋まってしまったことでPCの空き領域が残りわずかになってしまい、PCで作成するデータが保存できなくなったり、思いもよらぬ弊害が出たりすることもあります。
iTunesでのバックアップ前にはご自身のPC環境を十分に確認しましょう。
iTunesでバックアップされる項目
iTunesでのバックアップは暗号化がお勧めです。
デフォルトのバックアップでは、バックアップされない項目でも、暗号化バックアップではバックアップされます。
暗号化の方がより多くの項目をバックアップできるので、お勧めなのですが、注意点としてはパスワード設定をしなければならない点です。
設定したパスワードを忘れると解除する手順はありますが、できる限りパスワードは忘れないように管理することが望ましいと思います。
ちなみに、バックアップの内容はというと、iPhoneの中身がほぼ丸ごとバックアップされる状態に近いです。
バックアップされる項目を書き出すと多すぎて逆にわかりづらくなるので、ここでは暗号化バックアップでバックアップされない項目を書き出していきます。
なお暗号化バックアップとは、下記iTunesバックアップの設定の「iPhoneのバックアップを暗号化」にチェックを入れた状態のことを指します。
暗号化することでバックアップされる項目
デフォルトの設定状態ならバックアップされないが、暗号化すればバックアップされる項目を列挙します。
アクティビティ:iTunesでは暗号化しないとバックアップされませんが、iTunesバックアップを暗号化したくない場合、iCloudで設定をオンしておけばiCloudに保管されます。
ヘルスケア:iTunesでは暗号化しないとバックアップされませんが、iTunesバックアップを暗号化したくない場合、iCloudで設定をオンしておけばiCloudに保管されます。
キーチェーン:同じデバイスに復元する時だけ復元可能です。ここもiCloudキーチェーンを設定しておけばよいですね。
メールアカウントのパスワード:デフォルトの設定ではメールのアカウント情報だけはバックアップされますが、暗号化することでパスワードもバックアップされます。
暗号化でもバックアップされない項目
iTunes Store やBook Storeで購入したコンテンツ:これらは再ダウンロードできる項目になるので、iTunesバックアップでは対象外です。
外部からiPhoneに同期したコンテンツ:よくあるパターンとしては、CDの音楽をiTunesに取り込んでiPhoneに同期した場合や、デジカメで取った写真をPCに保存した後、iTunesでiPhoneに同期したといったような場合が該当します。
着信音:対象外
iCloudの結合(連携)項目でスイッチをオン(グリーン状態)にしている項目
iCloudに結合されている項目は、基本的にデータそのものが、そもそもiCloudに保管されるような仕組みになるので、iTunesにはバックアップ(保管)できません。
iTunesに保存できるデータはあくまでPCのローカルディスク内にあるデータだとご認識いただければと思います。
まとめ(Appごとに一覧で解説)
Appごとに検証を重ねて調べたため、不確かな情報が含まれている可能性があります。
ただ、一つの情報として見ていただくことくらいはできるのかなと思っています。
App | iCloud | iTunes |
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バックアップされますが、新しいiPhoneにバックアップ復元する場合は、バックアップ復元前にWi-Fiの設定が必要なので、バックアップされてる意味があまりないかもしれません。複数のWi-Fiを利用している人にはいいと思います。 | バックアップされます。 iTunesでのバックアップ復元を行えば、Wi-Fi設定を省けるので、少し手間が省けますね。 |
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バックアップはされますが、バックアップを取ったデバイスにのみ復元可能(新しいデバイスには復元不可能)です。何らかの理由でデバイスを初期化し、その後バックアップデータを復元するという場面でしか役立たないですね。 | 左に同じです。 |
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IOS 11以降でバックアップ対象になりました。iOS 10以前はiTunes Storeで購入した着信音だけが対象となっていました。 | バックアップされません。 |
![]() (旧:機能制限) |
旧称「機能制限」です。バックアップされます。逆にここはバックアップされることで困る人も多いかと思います。パスコードとロック状態がバックアップデータに含まれてしまうため、スクリーンタイムパスコード(機能制限パスコード)を忘れてしまった場合、初期化しない限り、それを解除できません。 | 左に同じです。 |
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バックアップされます。 | バックアップされます。 |
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プロファイルはキャリアメールの設定や格安SIMを利用する際などに各社のサイトからダウンロード&インストールします。バックアップはされますが、バックアップを取ったデバイスにのみ復元可能(新しいデバイスには復元不可能)です。何らかの理由でデバイスを初期化し、その後バックアップデータを復元するという場面でしか役立たないですね。 | 左に同じです。 |
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バックアップされます。 | バックアップされます。 |
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Siriの学習内容はiCloudに結合されて保管されていると考えられますが、これに関しては検証方法が思いつかずに、それを証明できません。今後、情報にアップデートがあれば記事を更新します。 | iTunesの場合も同じです。おそらくデフォルトでバックアップされることはないと考えられます。少なくとも暗号化が必要になると思いますが、検証して証明する方法がないため、ここでは言及しません。 |
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Face IDもTouch IDもバックアップされません。 | Face IDもTouch IDもバックアップされません。 |
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iTunes Store やApp Storeで購入したものは、再DLが可能です。
他社製Appはバックアップされているものもありますが、されてないものもあります。 |
左に同じです。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudに結合(スイッチオン)しておけば、新しい端末でもiCloudにサインインすれば、非常に簡単にクレジットカードをWalletに設定できます。 | 申し訳ありませんが、現在検証中のため、検証が完了次第、記事を更新します。 |
![]() WebサイトなどのログインID・パスワード |
WebサイトなどのログインID・パスワード情報は、iCloudバックアップされますが、バックアップを取ったデバイスにのみ復元可能(新しいデバイスには復元不可能)です。 そのため、ID・パスワードを引き継ぎたい場合は、iCloudキーチェーンを使用するのがおすすめです。 |
暗号化しない場合は、バックアップを取ったデバイスにのみ復元可能(新しいデバイスには復元不可能)です。 暗号化バックアップすれば、別のデバイスにも復元できます。 |
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キャリアメールではプロファイルを使用するので、バックアップ対象にはなりません。Gmailなどのフリーメールアカウント情報はiCloudバックアップに含まれますが、パスワード情報は含まれません。 | キャリアメールではプロファイルを使用するので、バックアップ対象にはなりません。Gmailなどのフリーメールアカウント情報はiiTunesバックアップに含まれますが、暗号化すればパスワード情報も含まれます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iCloudに保管されます。かつiCloudアカウントに紐づいている予定のみ対象。他社のアカウントに紐づいている連絡先は、その他社アカウントを設定すれば復元されます。 | iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iCloudに保管されます。かつiCloudアカウントに紐づいている予定のみ対象。Gmailなどの他社アカウントに紐づいている予定は対象外です。他社のアカウントに紐づいているカレンダーは、その他社アカウントを設定すれば復元されます。 | iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iCloudに保管されます。かつiCloudアカウントに紐づいている予定のみ対象。Gmailなどの他社アカウントに紐づいている予定は対象外です。他社のアカウントに紐づいているカレンダーは、その他社アカウントを設定すれば復元されます。他社アカウントはうまく復元されない場合があります。 | iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iCloudに保管されます。 | iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iCloudに保管されます。 | ボイスメモは音源をiTunesに同期(転送)しておくことができます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudにサインインしておくだけで自動で、iCloudに発着信履歴が保管されます。 | 発着信履歴がバックアップされます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、iMessage、テキストメッセージ(SMS、MMS)がiCloudに保管されます。※iOS11.4から追加された機能です。 | バックアップされます。 |
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iCloudバックアップで発着信履歴が残っています。ただし、FaceTimeはちょっと特殊で、iCloudバックアップの項目にもFaceTimeはありませんし、iCloudの結合スイッチもありません。どこにもスイッチはないのですが、電話の発着信履歴のように自動保管というわけではなく、iCloudバックアップから復元すれば発着信履歴が復元します。謎な仕様です。 | バックアップされます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、ブックマーク、履歴などが結合されます。 Safariのブックマークは、iCloud.comにアーカイブが取られるので、いざという時のためにiCloud結合をオンにしておくことがお勧めです。 |
iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれませんが、iCloudの結合のスイッチをオンにしておくことで、株価アプリの設定内容が保存されます。 | iCloudの結合スイッチがオフの場合は、iTunesでバックアップ可能になります。iCloudの結合スイッチがオンの場合はiCloudのみに保管されます。 |
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iCloudバックアップには含まれません。iTunes Storeで購入した曲は再ダウンロードが可能です。Apple Musicユーザは、iCloudミュージックライブラリを使用していれば、iCloudにサインインするだけで保有しているすべての音楽にアクセスできます。 | iTunesバックアップには含まれません。iTunes Storeで購入した曲は再ダウンロードが可能です。また、CDからiTunesに取り込んだ曲などは、再度iTunesからiPhoneに同期してあげる必要があります。 |
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iCloudバックアップに含まれます。ただし、iCloud写真(旧iCloudフォトライブラリ)を使用している場合は、iCloudバックアップは対象外に自動で切り替わります。 | バックアップ対象です。ただし、iCloud写真(旧iCloudフォトライブラリ)を使用している場合は、バックアップの対象外になります。 |
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バックアップに含まれません。購入した書籍は再ダウンロードが可能です。 | バックアップに含まれません。購入した書籍は再ダウンロードが可能です。 |
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Game Centerと連携されたゲームがバックアップ対象となりますが、正確な情報はそのゲームアプリの正しいバックアップ手順を確認することをお勧めします。 | Game Centerと連携されたゲームがバックアップ対象となりますが、正確な情報はそのゲームアプリの正しいバックアップ手順を確認することをお勧めします。 |